カメリア・カレッジ 教育講座(第1回)平成23年1月15日

教育講座(第1回) H23.1.15

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2011年1月15日、特別養護老人ホームカメリアでカメリアカレッジで教育講座(第1回)が開講されました。

教育講座は今年1月~5月まで1ヵ月につき2回のペースで開催されます。この講座開講にあたっては旧亀島小学校の初代校長である三浦一郎先生の全面的なバックアップを受け、講師の調整や全体の流れなどのプロデュースをしていただきました。

今回は第1回目の開講。
元亀島小学校第3代目校長の桐谷澄男先生による「学習指導要領の改訂に伴う指導の要点」と題した講演が行われました。

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はじめに湖山代表より開講にあたっての挨拶を行いました。

湖山代表からは、「知的好奇心が大切。お年寄りはお年寄り同士だけではなく、地域の方をともに語り合えることが大変楽しいことである。生涯の学びが大切。生涯教育の一環として旧亀島小学校の教育の歴史を継承したい。全10回の講座が有意義になることに尽くしたい」。

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講師紹介
桐谷澄男先生

昭和36年4月より教員生活をスタート。
平成3年~7年まで第3代・亀島小学校の校長。
平成8年明治小学校校長、平成11年3月に定年退職。
全国の小学校校長会の役員等を歴任。
現在国語教育学会理事、都内の国語の校内研究会の講師を務める。

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桐谷氏からは、旧亀島小学校時代の5年間の想い出が語られました。旧亀島小学校は、公立学校のモデルになる意気込みで取り組まれた初代校長の三浦先生の教育への意思を受け継いで、この人情の厚い亀島の地で5年間お世話になりました。地域の子どもにかける思いは半端ではありませんでした。海外からの見学対応ではアフリカからの訪問者のことが思い出されます。また開校まもない学校で年間2回も大規模な研究発表会を開いたことがいい想い出となっています。
カメリアへは昨年(2010年)2月22日の竣工式以降6度目の来所になります。小学校の面影はないですがここにくると懐かしい想い出に浸ることができます。

改訂学習指導要項の指導要点

2011年4月に小学校国語教育の学習指導要項が改訂されます。
今回はその改訂学習指導要項の内容の意図についての解説です。
指導要領が企図する「伝統的な言語文化と国語の特質」から「言語力の育成・活用の重視」が教科書でいかに表現して、教育されようとしているのかをここでは実際の教科書を用いながら学びます。
江東区では光村図書の教科書が採用。
指導要綱は部分改訂。国語の場合は1~4年生までは23年4月から授業時間が増加します。一方5~6年生については、年間5時間の授業時間が減少します。3年生以上は毛筆の授業が、1~2年は書き方の授業が入ります。
今回は江東区で使用される光村図書の改訂後の6年生の「国語教科書 創造」を資料として用いながら解説が行われました。

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改訂にあたって~教科書の内容~

・一番の改訂のポイント:伝統的な言語文化に親しむことが大きなポイント。改訂後の教科書では「国語6 創造」ではカラーな表示。来年度の6年生は古典に親しむ学習を行うことになります。家庭では理屈よりも声に出して読むことが大切です。大人になって思い出せることが大切。

・学びのことば:雲雀、さえずる、桜前線など、季節の用語を耳にすること。俳句、短歌を覚えて接することで昔の人の心を知ることです。

・伝統文化を知ること:万葉集よりから江戸時代の東海道中膝栗毛までの歴史が入っています。また柿山伏、狂言。季節の移り変わり感じること。

・真夏日、熱帯夜、さんさん、ぎらぎら 季節のことばに親しみます。

・古典、俳句:いままでの教科書は短歌と俳句が古典とされてきたが「とんぼ」をテーマとした俳句が掲載されている。

・「静夜思」…李白。小学生が学ぶ、生活のひろがりを学ぶ。

・季節感のよく出た詩、短歌、俳句が特徴。

・鳥獣戯画:国宝であることではなく人類の至宝である。

・子どものことは自由な発想ができるが、6年生は回りの反応をみながら発表します。発表にあたっては書いてみて発表することで授業の工夫をしています。

・天地の文…福澤諭吉。人生わずか50年。かつてはわずか50年の時代があった。教育ということばは福澤諭吉が創作。英語の日本語訳の名人であった福澤諭吉。国語ということばも明治33年から使い始められている。

・古人のおくり物:落語、寿限無も覚えること。古典に親しむ。

「Ⅳ.言語力の育成・活用の重視」

・2008年、PISA調査。国語がOECDの平均を上回った。

・一般的傾向:長文読解力が出てくると日本の子どもは弱い。自分の意見の表明も苦手。

・PISA調査の狙い:義務教育の終了段階で連続テキストに対して読み取って理解して、意見の表明ができること。最後に書くことが求められる。5W1Hにそって話せる、書けること。それが日本の子供は弱い。

・校内研究では長文読解では、継続的に取組んだ学校では確実に読解力が向上していた。やり方がわからない仕方がわからない。暗記だけではなく、考える学習に進んできている。

・意見文の重視:「はじめ」「なか」「おわり」、はじめに結論をのべて解説していくこと。

・感想文ではなく、意見文を書くことにシフトしつつある。

桐谷先生への質疑応答、質問
講演終了後、聴講者との質疑応答の時間がありました。

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≪桐谷先生への質問≫

①教科書はとても難しい内容になっているようだが、子どもは理解できるのだろうか?音読の意味は何か?

②中学受験にあたっての厳しくなるのではないだろうか?古典が入る意味は如何?

③国際人としての国語のあり方はどうか?

④子どもの意見を引き出すための教員への指導は如何?

≪桐谷先生の回答≫

①昔の人のものの見方や考え方を知ってもらいたい。先祖からもらった古に秘訣を伝承すること。

②古典の入ることで多少は受験として入るだろうが、一気に入り込むことはないのではないか?指導要領の改訂は来年度以降。

③人類としてお付き合いが地球規模となり、国際人として子どものうちから視野を広げておく必要があるだろう。国際競争力に耐えること、戦える人材を育てる教育の必要性。指導要領の中には「経済力」の視点が強調されている。日本を知ることを通して外国を知ること。外国人に狂言とは、歌舞伎とは何かを意見できる人。

④団塊の世代が退職して都内の公立学校には若い教員が大量に入職している状況にある。大規模校でない限り若い教員への指導は時間的に困難。教育実習のような場面が日々が続いている。研修制度の支援もしているが心もとない状況にある。モンスターペアレントに挫ける教員も存在する。教員になるまでに鍛えられていないことに危惧している。教員は保護者とともに育て合うことではないか?

≪桐谷先生への質問≫

①音読の意義は何か?

②こどもに本を選ぶ基準、よい本とは何か?子どものよろこぶ本は何か?

≪桐谷先生の回答≫

①音読の意義とは、理屈以前に音読、暗証の必要性。今のこどもの生活スケジュールが忙しい。じっくり何かに取り組むことが少ないし、自分の時間が生まれてもテレビゲームに興じることが多い。勉強のできる家庭の雰囲気にない可能性がある。また多様化が進みひとことで語れない状況にある。

②できれば図書館と連携して相談するほうが早道かも。学校には予算の問題があり新しい図書の購入、司書の採用などの対応が困難です。近年公立学校では公共図書館との連携が進んでいます。公共図書館をご利用されるといいと思います。

≪講演への感想≫

・すばらしい機会を与えていただいて感謝します。地域に帰って伝えていきたい。ありがとうございました。

・教科書を眺めてなつかしく感じた。一日が忙しく流れていく中で、ゆとり教育から濃い内容になる教科書・教育にあたってじっくり支援していく必要があると感じた。

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さいごに

閉講にあたり湖山代表より講演を受けての感想が述べられました。
「ことばのリズム、音楽のリズムを覚える、わかる、わからないではなくリズム感を体に覚えて記憶することが、生涯にわたって活きるのではないか。子どものころに聞かない言語、音楽はやがて忘れてしまう。という医学・生理学の知見があるようだ。子どもの体に染みつかせることが大切」。
2時間という時間が大変短く感じられる充実した講演を行っていただきました。聴講された方は町内会長の方から町内で実際の子どもの教育に関心のある方、子どもの教育は終えたが今の教育がどのようになっているのかに関心をもった方など、多様な動機をもった方に参加していただきました。桐谷先生の教育への情熱、国語教育は覚えることだけではなく、音読して感じることも重要であることがわかりました。

次回は1月22日(土)14時~16時に「江東区教育の現状」の演題で江東区教育委員会、教育委員長の宇佐美様に講演していただきます。参加無料です。参加・聴講をご希望される方はカメリア会(03-5836-2311)までお問い合わせください。